今さら聞けないネットのあれこれ。
今回は
「電子書籍のハードウェア」
についてお話します。
重要度:★★
難易度:★★
2.ハード(リーダー)
先日発表された、Googleのネクサス7もそうですが、現在電子書籍の閲覧が可能なハード(端末)は、キンドルの様な専用器だけではなく、スマートフォン・タブレット・PCブラウザー・PC専用アプリそして携帯電話(フューチャーフォン)と言った状態で、まさにカオスです。
これは、我々ユーザー側から見れば、非常にありがたい事のように思われますが、実はそうでもないのです。
前回のフォーマットと同様に、あまりに多様化してしまった為に、電子書籍のデータを制作する製作者側に、多大な負担がかかる状態になっているのが、現状です。
キンドルの様に専用端末であれば制作するデータは1種類で良いのですが、複数のハードに対応しなければならないデータを制作することは、時間も労力も非常にかかります。
何故、この様な状態になったのか?
じつは、この問題の一つとして、出版社が電子書籍を販売しようとしたからという事が考えられます。
では、出版社が電子書籍を販売することが、何故問題なのか?
元々、出版社は書籍を販売することが仕事ではなく、書籍を制作することが仕事です。
本来であれば、書籍データを制作して、そのデータを販売店(アマゾン等)に配布すれば問題は無いのですが、インターネットの世界では、そうした販売も自社行うことが可能です。
企業としては、自社で販売できるデータを持っているのであれば、販売店にデータを卸すよりも、そのまま販売した方が利益率が高いので、当然自社で販売しようと考えます。
しかし、ここで一つの問題が発生します。
アマゾンのように、自社で独自のハードを開発できれば良いのですが、普通の出版社にそのような技術はありません。そこで、最も簡単なWEBブラウザーを利用した専用のビュアーソフトを利用すれば、簡単に自社で電子書籍の販売が可能になります。
ビュアーソフト自体は、ソフトメーカーから、FlashやPDFをベースとしたものが販売されているのでそれを活用すれば、抵コスト・短期間で販売体制が整います。
また、最近ではWEBブラウザーベースのビュアーソフトも登場しているので、比較的簡単に出版社自体で電子書籍の販売を行うことが可能になりました。
このことが、現状の複数ハードへの対応という、非常に厄介な状態を生み出しているのです。
つまり、既存技術の流用による、小額投資で自社の製品を販売し、尚且つ独自フォーマットを使用する事で、顧客の囲い込みも出来る。と言うまさに出版社には濡れ手に粟の状態を作り出したことになります。
しかし、この状態は、大きな問題を孕んでおり、それが現在の電子書籍マーケットに暗い影を落としています。
それは、汎用性の高いビュアーソフトを用いたために、ハードへの対応を迫られると言う状態に陥っていることです。
専用端末での閲覧で、あればその端末に合わせればよいのですが、汎用性の高いシステムゆえに、複数の端末(ハード)への対応をしなければならないと言うことです。
タブレットで読める本が、スマートフォンで読めない。と言ったことが本来であれば、当たり前のはずですが、それでは売り上げが落ちる可能性があります。
そこで、本来は読めないはずのスマートフォンで読めるように対応したプログラムを利用することになります。当然そのプログラムはスマートフォン専用に開発されているので、電子書籍のデータもまた、それ専用のものを用意することになります。
また、対応するハードも、年々増えてその画面表示サイズや、基本OSによって仕様が変ります。
そうした、ハード全てに対応する状況を作り出さなければ、売り上げが確保出来ない、あるいは顧客を囲い込めない状態になっている。と言うのが現状です。
これほど急速に普及したハード市場に追いて、公平なサービスの提供は必ずしも必要なのでしょうか?
アマゾンのキンドルが何故、アメリカであれだけ売れているのか、もう一度検証してみる価値はあると思うのですが。
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